理論化学は基礎学術的な発展から社会課題の解決までの広範な話題に関連する学問として発展してきました。そこで、理論化学に関連する各分野の最先端でご活躍の先生を講師にお迎えし、基礎編と応用編の2回のご講演を頂き、今後の理論化学の基礎的な理解からさらなる普及・発展につなげる機会として理論化学レクチャーシリーズを開催致します。

理論化学レクチャーシリーズ#5
日時シリーズ#5・Part1基礎編: 7/27(木) 11:00-12:00
シリーズ#5・Part2応用編: 7/28(金) 11:00-12:00
開催形式オンライン、参加登録者に当日までに参加URLをお送り致します。
講師筑波大学計算科学研究センター 庄司光男先生
HP: https://www2.ccs.tsukuba.ac.jp/people/mshoji/index.html
タイトル酵素反応機構と生命起源についての理論的探求
要旨生命は38億年前に地球で誕生し、進化の過程で素化学反応を最適化してきている。光合成や呼吸、代謝、情報伝達など、生体内で必要となるすべての反応に対して、専用の酵素を利用して制御している。酵素が持つ優れた反応触媒の仕組みは現在劇的に解明が進んでいる状況である。反応機構を理論的に検証する方法(量子古典混合計算法(QM/MM))について、背景、理論、具体的計算手順、応用の諸項目について解説する。実験研究との対応関係についても具体的に解説する。
2日目は、生命の起源を取り扱う。アミノ酸はキラルな生体構成分子であり、地球上の生命はL体アミノ酸を主に利用している。このホモキラリティに至った分子機構は、生命起源に直接関連し分子進化を紐解く重要な鍵となるにも関わらず、大きな謎となっている。近年我々は本課題に対する一つの答え(説)を見出している。本課題の背景、実験研究、我々の理論解析状況、今後の課題について議論する。
参加登録下記、Google Formフォームより参加登録をお願い致します。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScLY2ItcpJK_UdzsOeq67dWCWh9fcJWLqpyq28yWrLsiz0rAw/viewform
Google フォームにアクセスできない場合は下記問い合わせに直接ご連絡ください。
メール申し込みの場合、件名に【理論化学レクチャーシリーズ#5申し込み】と記載してください。
理論化学レクチャーシリーズ#4
日時シリーズ#4・Part1基礎編: 3/10(金) 10:00-11:00
シリーズ#4・Part2応用編: 3/10(金) 11:30-12:30
開催形式オンライン、参加登録者に当日までに参加URLをお送り致します。
講師奈良先端科学技術大学院大学 宮尾 知幸先生
研究室HP: http://www-dsc-vm.naist.jp/data-driven_chemistry/
タイトル分子生成モデルの現状と課題
要旨深層学習を利用した分子生成モデルは分子グラフやSMILESなどの線形表記を生成する。一方で、古くからbuilding blockを組み合わせる形での構造生成や仮想的な反応を利用した構造生成手法も提案されている。本発表では、これらの手法のレビューと付随する要素技術の説明を講義と応用事例という点から説明し、今後解決すべき課題についても議論したい。
参加登録下記、Google Formフォームより参加登録をお願い致します。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScKdJkSn3sMw3FZKmMT_eb7I3TXTlauS-hevCVNyFAWb_UrAg/viewform
Google フォームにアクセスできない場合は下記問い合わせに直接ご連絡ください。
メール申し込みの場合、件名に【理論化学レクチャーシリーズ#4申し込み】と記載してください。
理論化学レクチャーシリーズ#3
日時シリーズ#3・Part1基礎編: 10/28(金) 16:30-17:30
シリーズ#3・Part2応用編: 11/1(火) 16:30-17:30
開催形式オンライン、参加登録者に当日までに参加URLをお送り致します。
講師国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 志賀 基之先生
タイトル第一原理分子動力学の現在と未来
要旨第一原理分子動力学は、大型並列計算機普及とプログラム整備が進み、理論化学の標準的ツールとなってきている。このレクチャーシリーズでは、理論化学を学び始めた学生や若手研究者に向けて、第一原理分子動力学の概要を述べる。また、この分野の技術開発に関する先端トピックスとして、レアイベント問題への取り組み、物質中水素の量子物性の扱い、機械学習ポテンシャルの利用、マルチスケール計算などを取り上げ、将来を展望する。
参加登録下記、Google Formフォームより参加登録をお願い致します。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd94DVFyRO7VT0PhEhH1RBeUWp4ee3WyS6Ix5n3bsauEjEr5Q/viewform
Google フォームにアクセスできない場合は下記問い合わせに直接ご連絡ください。メール申し込みの場合、件名に【理論化学レクチャーシリーズ#3申し込み】と記載してください。
理論化学レクチャーシリーズ#2
日時シリーズ#2・Part1 (基礎編): 6/23(木) 14:00-15:00
シリーズ#2・Part2 (応用編): 6/30(木) 14:00-15:00
開催形式オンライン、参加登録者に当日までに参加URLをお送り致します。
講師理化学研究所 計算科学研究センター 中嶋隆人先生
タイトル電子状態理論:大規模化・多様化
要旨量子化学における電子状態理論は物質科学・生命科学などの多くの研究分野の共通基盤である.コンピュータの高度化・高性能化に伴い,大規模な分子の電子状態を高精度にシミュレーションする要望は急速に増しつつある.しかしながら,従来の電子状態理論は系の大きさに対して計算時間が単純にスケールするのでなく,分子が大きくなればなるほど高い計算コストが必要であり,大規模な分子に適した電子状態理論の開発が必要となる.また,超並列スーパーコンピュータの恩恵に浴するには超並列計算に適した電子状態理論の開発も必要であろう.本レクチャーでは,電子状態理論の基礎の紹介から始めて問題点を浮き彫りにし,問題解決に向けたわれわれのグループの「京」コンピュータや「富岳」での取り組みについて紹介する.
参加登録下記、Google Formフォームより参加登録をお願い致します。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdJnTcCnDjsjUgJdjBeo-zJ8wNzgjqCABlRZJfzg2zEpqW8Hg/viewform
理論化学レクチャーシリーズ#1
日時シリーズ#1・part1 (基礎編): 4/23(土) 15:30-17:00
シリーズ#1・part2 (応用編): 4/27(水) 15:30-17:00
開催形式オンライン
講師大阪大学大学院 基礎工学研究科 松林伸幸先生
タイトル溶液統計力学理論の開発および分子シミュレーションとの融合によるソフト分子集合系の解析
要旨溶液、ミセル、ポリマー、タンパク質系などは、秩序とゆらぎを併せ持つソフトな分子集合系を構成し、その主要機能が、溶解、結合、認識といった物質分配である。本レクチャーでは、ソフト分子集合系における物質分配を記述する統計力学理論を紹介し、ミセルや脂質膜などの自己組織化集合系への異種分子の分配、タンパク質の凝集への共溶媒効果、ポリマーへの小分子溶解などの適用事例について述べる。まず、溶液系の密度汎関数理論を構成し、エネルギー座標の考え方に基づく次元縮減手法を導入する。次いで、液体系への溶解のみならずミセルや脂質膜などへの異種分子の分配まで、ソフトな分子集合系への異種分子の導入を「溶媒和」として捉え、普遍化した溶媒和概念に立脚して溶液(超臨界流体やイオン液体を含む)・ミセル・脂質膜・界面・ポリマー・タンパク質などへの物質分配を、分子シミュレーションとの融合手法によって横断的に解析する。統計力学理論の定式化によって分子シミュレーションの実地応用においてしばしばボトルネックとなる自由エネルギー計算が高速化するだけではなく、溶液密度汎関数理論が物理化学的な理解のための枠組みとしても有用であることを示す。